双雲流 こころに残る年賀状
有名書道家 武田双雲が「筆王ZERO」のために書き下ろした年賀状デザインと、好きなイラストや自分の写真と組み合わせて使える賀詞パーツを収録。武田双雲氏ならではの目線で最近の年賀状文化に関するコラムを年末まで連載します。第3回は「『感動』『希望』という書を選んだ理由」です。
「感動」「希望」という書を選んだ理由(文:武田双雲)
大人になるにつれて、感動は薄れていく傾向にあります。その理由を考えてみると、幼い頃は見るもの、体験するもののほとんどが初体験。新しいものとの出逢いが次々とやってきます。感動しようという心がなくとも自然に心は動き、感動している状態が続きます。感動していると好奇心も大きくなり、それがまた思い切った行動を促し、それが新しい発見につながり、さらに感動する、といったプラスのスパイラルが生まれます。それが大人になると、新しい刺激が減ることで感動が減り、好奇心が薄れ、行動力が落ちて、新しいものとの出逢いも減り、さらに感動が減るというマイナスのスパイラルに陥ります。また、失敗を恐れる恐怖心や、他人の目が気になって思いきった行動を起こしにくくなります。そういうことが重なっていくと、せっかく感動が沸き起こりそうになった時も、いつのまにか自分を抑えてしまうようになります。しかし、よく考えてみると、大人になったときの方が、より感動は大きくなる可能性はあります。その理由は大人の方が、子供に比べて行動できる範囲、知識の量、アイデアの拡がりが、はるかに大きいからです。それだけでなく、経験が多い分、苦しみや悲しみも味わうし、人の気持ちもより理解できるために、感動の力が大きくなっていくはずです。だから僕は、大人にこそ、もっともっと感動してほしい。そして自分自身がもっと感動できるような人間になりたいという想いをこめてこの書を書き上げました。たくさんの大人が感動をつなげていくことで、今の世の中に希望の光が灯されるのではないかと思いました。その光が灯されることへの希望、その想いを書に託しました。
コラムバックナンバー
プロフィール
書道家 武田双雲
昭和50年 熊本市生まれ。3歳から母である書家:武田双葉(そうよう)に書を叩き込まれる。
東京理科大学理工学部卒。2001年1月NTTより独立。現在は湘南を基盤に創作活動を続ける。
題字作品は、テレビ朝日「けものみち」、TBS50周年記念ドラマ「里見八犬伝」など多数。