双雲流 こころに残る年賀状
有名書道家 武田双雲が「筆王ZERO」のために書き下ろした年賀状デザインと、好きなイラストや自分の写真と組み合わせて使える賀詞パーツを収録。武田双雲氏ならではの目線で最近の年賀状文化に関するコラムを年末まで連載します。第4回は「『感謝』『ありがとう』という書を選んだ理由」です。
「感謝」「ありがとう」という書を選んだ理由(文:武田双雲)
ニュースの特性でもあるので仕方がないのですが、テレビや新聞、インターネットからは、政治家の粗探しなど、悪い部分にばかり焦点が絞られて、情報が流されてきます。どちらかというと、「わるい」ニュースが多くを占めます。世の中には、毎日そんなに「わるい」ことが起きているわけではありません。ニュースになるくらいの情報は、ものすごく希少なことだからこそニュースとしての価値となります。だから、語弊を怖れずに言うと、ほとんどが、平和であると言い換えることができます。僕らが「わるい」情報に触れすぎて心がモヤモヤしている間にも、太陽はサンサンと輝き、水は地球を循環し、体中の細胞は活発に働いています。他にも地球上には数え切れないほどの恵みが循環しています。自然の恵みだけでなく、先人たちの努力の結晶の上で僕ら現代人は生活をしています。さきほどのテレビも新聞もインターネットも先人たちの努力と智恵の結集です。食べ物も着る物も、水道もガスも、車も飛行機もパソコンも携帯もそうです。あらゆるものが過去の積み重ねの上に成り立っています。僕ら人間は「環境適応能力」というものがあって、苦しいことも愉しいこともすぐに適応してしまいます。ですからどうしても、日々の恵みに対してさえも適応というか慣れてしまって、ついつい大事なことを忘れがちです。身近にあるものほど、その大切さを忘れてしまいます。家族がそのよい例ですね。ですから、僕らはあえて「感謝」「ありがとう」という言葉を生み、言葉にすることで、文字にすることで、大事な大事な恵みを忘れないように、気づくようにしたのだと思います。だから、僕は今こそ「感謝」「ありがとう」の書を心を込めて書き上げました。少しでも多くの人に恵みに気づくこと、そして、恵みに対して「感謝」できる心、「ありがとう」と素直に声に出せる心を育んでほしいと思います。
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プロフィール
書道家 武田双雲
昭和50年 熊本市生まれ。3歳から母である書家:武田双葉(そうよう)に書を叩き込まれる。
東京理科大学理工学部卒。2001年1月NTTより独立。現在は湘南を基盤に創作活動を続ける。
題字作品は、テレビ朝日「けものみち」、TBS50周年記念ドラマ「里見八犬伝」など多数。